CoSTEP関係者,北海道大学の学生等が中心となって北海道大学病院へ出前授業をしています。その活動ノートです。

2008年7月24日木曜日

気候変動の話

2008年7月22日、11:20-12:00の40分間、
Kanamoriさんのご紹介で、初めて院内授業をしました。
テーマは「気候変動の話」です。

今回は、テレビ会議システムをもちいて2つの教室を結んで授業を行う、初めての試みだったようです。
一つは北大病院 院内学級で私が直接授業をして、Kanamoriさんと近所の研究室のYさんには市立札幌病院 ひまわり分校で私の遠隔授業の補佐をしていただくことになりました。

目の前にいる生徒と、カメラの向こうにいる生徒に向かって話をするためには、ある程度「慣れ」が必要だな、と感じました。不足だらけの授業の補佐をしていただいたKanamoriさんとYさんには感謝です。
わたしは出前授業に慣れていないことからも、「慣れ」の必要性は切実です。徐々に慣れていこうと思っておりますが、その際は周りの方々にご迷惑をおかけするかと思いますが、暖かく見守って頂ければ幸いかと思っております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

さて、内容に関してお知らせしたいと思います。
参加者、授業のねらい、授業の流れ、体験してもらったこと、についてご報告します。

■参加者
講師:sakurai
サポート:院内学級・ひまわり分校の先生方、情報基盤センターの先生方、Kanamoriさん、院内学級に興味のある近所の研究室のYさん。

情報基盤センターの技術には驚かされました。今後はいろいろな可能性がありそうで、楽しみです。

■授業の狙いは、
「氷コアから復元した昔の地球と、人間活動により温暖化に向かっている今の地球」
について知ってもらうことです。

■授業の流れ
1.「ご紹介していただく」
2.「クイズ」
①雪ってなに?
②一年中融けない雪はどこにある?
③融けない雪を押しつぶすと、どうなると思う?
④融けずに積み重なっていくと、どうなる?
(クイズ④と3.1の南極のポスターの順序が当日逆になりましたが、流れは良かったと思います。)

3.「スライド」
3.1「南極」
Kanamoriさんが作成したポスターを見て、大きさを実感してもらう
(前回の院内授業に写真掲載)。
とてもインパクトのあるポスターです。

3.2「氷コアから温度がわかる」
酸素同位体(δ18O)のグラフを見せる。氷から昔の温度が解る。
タイムスケールを理解してもらうために、
Kanamoriさん流のトイレットペーパーで数十万年という途方もないスケールを表現
(前回の授業に写真掲載)。
トイレットペーパー全長50mを10万年として考え、自分たちが生きてきた10年前後が何センチになるかを知ってもらう。(10年は0.5cmでした。)
子供たちの歓声が嬉しかったのもKanamoriさんのおかげでした。
自分もたかが1.4cmの人生なんだなぁ、とビックリでした。

[氷期]グラフを見ながら現在よりも寒い時期の氷期があったことを知ってもらう。
院内学級の先生にご助言をいただいたように、いつも生徒が見ている世界地図に昔の氷床があった場所を塗りつぶす方法は、とても解りやすいと思いました。
(マンモスの話題はウケがいいですね。)

[間氷期]今と同じような暖かい時期があったことを知ってもらう(現在の衛星写真)。
反応、いまいちでした・・・。工夫が必要です。

[氷期・間氷期変動]氷期・間氷期に変動があることを知ってもらう。
わたし:グラフを指さしながら「寒い、暖かい、寒い、暖かい、寒い、暖かい・・・じゃあ次は?」
生徒:「さむーい!!」
とても元気な良い反応、ありがたかったです。

近年、温度が上昇しているグラフを見せる(IPCCレポートの図)。
現在は、人間が活動することによって温度が上昇していることを知ってもらう。
(授業の狙い)

3.2「氷コア中の空気」
スライドで、氷の中に含まれる気泡や微粒子を見せる。
実際に空気が入っている様子と、水に浸けて圧力緩和によって音が発生する「音」を聴いてもらう。
Kanamoriさんの持っている1万年前の氷コアを拝借。
ありがとうございました。

実際の氷を手にしたときの生徒の顔が生き生きしていたのがとても印象的でした。
(授業おわり)

昔の気候変動から、現在の地球温暖化が今ままでとは違うことを理解してもらえたら、今回の授業は成功といえますが、たぶん、そこまで達さなかった、と思います。
まだまだ修行が足らないことを痛感しました。

以上、7月22日の院内授業の報告でした。
sakurai