CoSTEP関係者,北海道大学の学生等が中心となって北海道大学病院へ出前授業をしています。その活動ノートです。

2008年6月20日金曜日

雪や氷から昔のことを調べる

6月19日,11:15-12:00の45分間,授業をしてきました。

#11:20-12:00の40分間時間を頂いていましたが,
生徒,児童が5分前に揃ったのではじめてしまいました。

内容は2007年5月の授業の焼き直しです。
キーワードは南極,氷コア,氷河。
氷河での野外調査で撮った写真のスライドショーと,
南極氷と防寒服の体験が主たる構成要素です。

子供たちが興味を示してくれて,非常に盛り上がりました。
みんなよく話をきき,機敏に反応してくれたので話もスムーズにすすみました。
授業のねらいに対してどこまで理解してくれたかはわかりませんが,
雪や氷の研究をリアリティのあるものとして感じ取ってもらえたと思います。
また,子供たちにとって,病院生活の中で忘れ難い楽しい思い出になったと自負しています。

院内学級の先生方には前回までと同様,非常に好意的に対応していただきました。

以下内容を箇条書きにまとめました。

■参加者
講師:kanamori
サポート(手を動かす部分や体験の時間の準備と子供たちへの対応)
院内学級の先生方,
院内学級での授業に興味のある大学院生(YHさん,TSさん,RSさん,MMさん)
対象:院内学級の小学生と中学生,計10名程度

■授業のねらい

-地球には雪と氷に囲まれた,日常からは想像もつかない世界があることを実感し
てもらう

-雪氷コア研究の紹介を通して,地球のことを調べるには色んな手段があり得るこ
とを知ってもらう

■実際の流れ
1.導入部
先生からの紹介とクイズ
「地球には1年中雪が融けない場所があるか?○or×」

2.雪氷圏の紹介
スライドを交えてどんな場所に氷河があるか紹介。
また,地球上の雪氷圏の分布を紹介。

NASA,Visible Earthの画像を印刷したポスターと小さな地球儀を使用。
ちなみに画像の取得元はこちら。
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北極と南極
http://svs.gsfc.nasa.gov/vis/a000000/a003400/a003402/
南極大陸
http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Antarctica_6400px_from_Blue_Marble.jpg
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北極は中央の海氷と周囲の陸氷,南極は中央の陸氷と周囲の海氷からなることを紹介。
世界の90%の氷が集中する南極大陸の大きさを,同スケールの日本と重ね合わせることで実感してもらった。

3.氷コア研究の紹介
低温室でコア解析作業をする写真を交えて氷コアから古気候,古環境が復元できることを紹介。
三択クイズで今まで掘られた一番古い氷コアの年代を紹介。
また,トイレットペーパーを使って氷コアでみている歴史は地球史の中でどの位の長さに相当するか説明。

地球の歴史46億年を,トイレットペーパーひとまき,60mとすると,
恐竜が現れたのは2.2億年前:遡ること3m
恐竜絶滅6500万年前:90cm
人類の誕生500万年前:7cm
南極で掘られた一番古い氷コア70万年前:1cm
みんなの生きてきた長さ:髪の毛よりももっともっと細い

実際にトイレットペーパーを目の前で切り分けたのが効果的で子供の興味をひいた。
すごく長いと感じる氷コアの記録や人類の歴史も地球史の中では一瞬,
ということを伝えたかったが,どう伝わったかは不明。

#子供たちにとって年代感覚をつかむのが難しいという指摘を事前に院内学級の先生から頂いていた。トイレットペーパーはその指摘を受けての工夫。

4.氷コア掘削作業の紹介
自分が参加したアラスカでの氷コア掘削作業を飛行場から飛び立つところから低温室まで氷コアサンプルを持ち帰るところまでスライドショーで紹介。
氷河の流れる様子も説明。

5.南極氷と防寒服の体験
南極氷はコップに入れて配り,各自観察後,水をいれて気泡がはじける音をきいてもらった。
防寒服は順番に着てもらった。
その間に個別に中学生の事前学習シートの確認と質問への返答。

■事前学習
中学生には院内学級の先生が南極,氷河,氷コアについての事前学習シートを用意してくださった。
キーワードについて調べてくる形式。
また小学生にも前日に地球史についてのビデオをみせて頂いていた。
おかげで話がスムーズに受け止められた。

■工夫した点
-目の前での作業から臨場感を演出
印刷された南極画像に対して,同スケールで日本列島を印刷して比較してもらった。
また,トイレットペーパーを目の前で切って地球史の時間スケールを説明した。

-字はひらがなで,クイズはみんなで読み上げてもらった。
小学生と中学生,双方を対象としたので小学生にあわせた。
読み上げを入れると理解の早い子もそうでない子も,皆の歩調が合う効果がある。

-スライドは極力自分が映っているものを選んだ。
目の前にいるオジサンが実際にやったこと,というリアリティを演出。